能登半島地震被災調査報告
日 程:令和6年1月28日㈰~2月2日㈮ 6日間
調査団:山村副理事長・清松専務理事・遠山 3名 清松車にて
能登半島地震被災調査報告書
日 程:令和6年1月28日㈰~2月2日㈮ 6日間
調査団:山村副理事長・清松専務理事・遠山 3名 清松車にて
行 程
1月28日㈰
15:00 OPDO事務所集合
16:00 事務所出発
16:40 さんふらわぁターミナル(別府港)着~乗船手続き~乗船
18:35 さんふらわぁ出発 大阪南港へ
1月29日㈪
6:45 さんふらわぁ 大阪南港到着~高速にて石川県へ
13:45 石川県河北市大崎区にて被災調査➀
17:00 ホテル着~チェックイン
1月30日㈫
9:00 チェックアウト~ホテル発
10:00 石川県立白山青年の家(石川県白山市)/
被災中学生の集団避難先➁
13:00 羽咋すこやかセンター/
羽咋市ボランティアセンター➂
15:00 石川県立七尾高校周辺被災調査➃
17:30 ホテル着~チェックイン
1月31日㈬
6:30 チェックアウト~ホテル発~石川県氷見市経由➄
11:00 穴水町B&G海洋センター/物資配布支援⑥
11:30 穴水町さわやか交流館プルート/
穴水町ボランティアセンター⑦
13:30 珠洲市市民ふれあいの里 健康増進センター/
珠洲市ボランティアセンター⑧~珠洲市内被災状況調査⑨
14:30 珠洲市みさきデイサービスセンター/ピースボート拠点➉
20:00 ホテル着~チェックイン
2月 1日㈭
9:30 チェックアウト~ホテル発
10:30 民宿はまなす 状況調査⑪~帰路へ
18:30 ホテル着(兵庫県加西市)~チェックイン
2月 2日㈮
9:30 チェックアウト~ホテル発
~高速・山口県下関市経由
18:00 センター事務所到着~荷物降ろし
18:30 解散
調査結果
➀石川県河北市大崎区(震度5強)
・液状化が深刻で地割れ、地盤沈下の被害が多数見られました。
・地区は既に復旧工事が始まっていましたが警備員の計らいで被災状況を写真に収めることができました。
石川県河北市大崎区
・地域の方に、当時の状況や自主防災組織についてお話を伺おうと思いましたが、皆、目が合うと「やめて」と対応不可。
➁石川県立白山青年の家(石川県白山市)/被災中学生の集団避難先(所長談)
・運営に防災士は不在。石川県は教職員への防災士取得を薦めていない。
・輪島市、珠洲市の生徒が避難している。
・市教委の判断で、この場所が選ばれ、石川県生涯学習課が支援のコーディネートを担っている。
・運営においての困りごとなし。普通に生活ができている。
・支援の申請は、たくさん上がっているが断っている状態。
➂羽咋すこやかセンター/羽咋市ボランティアセンター(市職員談)
・羽咋市は人口2万弱。正職員160名。避難所の運営は職員が対応。
・自主防災組織は少しできている。
・避難者状況/一般避難者43名。要支援者150名(車椅子の方、介助者含む)輪島市からの避難者が1名居たが、加賀市に移った。
・被害状況/家屋倒壊 全壊15~16棟。河川付近液状化。60世帯に影響。断水は一部残してほぼ解消している。
・先行きは不透明だが自立を促す時期にあると思う。
・仮設住宅は建設場所調査中。みなし仮設を検討しているが数が不足。
➃石川県立七尾城北高校周辺被災調査
・七尾城北高校/一時的に避難してきた人は居たが、現在は閉鎖。避難者は他の施設へ。(事務職員談)
➄石川県氷見市経由
・ローソン氷見インター店の駐車場で氷見市社協の澤田さん(以下、名刺添付)より、突然、お声
がけ頂き、先ずは、お礼の言葉を頂きました。(以下、当方のことを説明)
【NPOの活動。今までの支援活動(阪神淡路大震災以降の)。今回、検討している活動
(たこ焼き炊き出し、がれきの撤去作業等)。】
・支援のニーズ状況について説明があり、炊き出しは結構あるとのこと。是非、お願いしたい、という、
とても前向きな言葉を頂きましたので、互いの連絡先を交換して今後の活動の場を確保しました。
・翌日、澤田さんより連絡があり、2月10日、11日に被災地域の住民さんが子供と、がれきの
撤去作業を行うので、その際にたこ焼きを提供したいとのことでしたが、日程が合わず断りました。しかし、
体制を整えて必ず連絡する旨伝えました。
⑥穴水町B&G海洋センター/物資配布支援
・穴水町のボランティアセンターに向かう途中に、たまたま通りかかり立ち寄った所です。施設の外にはトレーラートイレが2台並んでいたのが印象的でした。体育館で自衛隊が支援物資の管理をし、出入り口で市、社協、NPOの職員が対応していました。断水解消の目途がたったのか、出入り口外に洗濯機が3台並んで
いました。
・物資は十分届いている。支援活動は、現在、町内で行っており、県外ボランティアは現在検討中。詳細は町ボランティアセンターで聞くように促されました。(町職員・佐藤様談)
⑦穴水町さわやか交流館プルート/穴水町ボランティアセンター(町観光交流課・なかしま様談)
・長期に亘る“断水”が課題。(1400戸/2月8日14時現在)
・炊き出しのニーズはあるので、町ボラセンのフォームに必要事項を記載して送ってほしい。
(直接、受けたいところだが、規則なので。フォームを送ってくれたら、優先してコーディネートする。)
・国東市の藤原龍司さん((一社)国東人 代表)が支援に入っていたので、飲料水を差し入れ
ました。2月10日まで車中泊で活動をするとのこと。ボラセンスタッフにも改めて紹介してくださり、今後の縁をつないで頂きました。
・施設の前に居た被災者夫婦にお話が伺えました。施設近くに自宅がある。揺れが始まったときは、頭が真っ白で体が動かなかった。家の中はめちゃくちゃ。金沢市に二次避難をしている。今日は、家に洋服と薬を取りに
来た。今まで、経験したことのない揺れで怖かった。
⑧珠洲市市民ふれあいの里 健康増進センター/珠洲市ボランティアセンター
支援Pの千川原さん
・ピースボートの上島さんのアドバイスであいさつに伺う。
⑨石川県珠洲市(震度6強)
・被害状況(令和6年2月8日14時現在/石川県・NHKまとめ)
死 者 102名(内訳:直接死96名・関連死6名)行方不明者2名
負傷者 249名(内訳:重傷47名・軽傷202名)
避難者 1375名/45か所
住宅被害 全壊3464棟・半壊2090棟・一部損壊2726棟
断水4800戸 停電450戸
・地震と津波被害が発生(但し、気象庁の観測点が隆起したため、津波の観測は出来ていない。
(2月1日17:58NHK)
➉珠洲市みさきデイサービスセンター/ピースボート拠点(拠点を統括する上島安裕さん談)
・支援内容:市内60か所にて炊き出し支援
・50~100食/か所(市内全体では2000食弱作っているが、自衛隊と協力して活動している。)
・課題は「断水」。現在(調査当時)、調理用の水はペットボトルにて浄水を汲みに行っている。浄水場が片道1時間かかり課題となっている。給水車を支援してほしい。この依頼を受け、帰着後、「志縁や」(佐伯市)の柴田真佑さんに相談。支援に行ってくださることとなりました。車検切れ寸前の軽トラックを被災地に寄付する前提で持参。給水に必要なタンクは、OPDOに令和2年7月豪雨災害支援で購入したタンク(500㍑)があったので(山村副理事長に管理依頼)それを役立てて頂くこととなり、加えて、川村理事長の発案で10万円の支援資金を贈呈しました。
2月10日から2月20日の日程で給水活動に活躍されてきました。
⑪民宿はまなす
・この調査の宿泊に考えていたところです。予約の電話を入れた際に、地震で被災した関係で、宿泊は可だが食事等のサービス提供が行えない状況で現在休業している、との話を聴きました。その時の、おかみさんの声が少し震えていたことが心に残り、おかみさんに会いに行く約束をしたことから、今回の訪問となりました。
「まさか、本当に大分から見えてくれるなんて、思ってもみなかった」と、大変な感激を頂きました。
以下、お話の概要
外観は何も被害を受けてないように見えるが、中はめちゃくちゃ。家具は倒れ、住める環境にない。
しかし、幸いにも避難所に行くまでもなく、少し片づけて、今はここで生活をしている。
これを機に宿を締めることを考えたが、多くのお客様より応援のメッセージを頂き、家族とも相談をして、再建を決心した。一番の決め手は、2人の娘さんの「お母さんの好きにすればいい。でも、新しいお客さんが出来たからやめられないよね。」という励ましの言葉だった。宿の下は亀裂がはしり、その関係で、家の中は畳が浮き上がりトランポリンの様になっている。応急危険度判定を含め、行政の対応はまだなされていない。先行きは不透明。自身も心の整理がついていず、まだ、何から手を付けていいのかわからない状況。
とりあえず、近日中にボランティア活動を初めて体を動かすことにした。そうすることで、気分も晴れて先が見えてくると思う。
ま と め
今回の地震災害は、➀土砂災害による孤立集落への対応、②自宅の耐震、③避難所運営、と過去の課題が、そのまま浮き彫りになりました。加えて、ボランティアの受け入れ態勢(支援体制)について問題視する声が目立っております。
こういった事を受けて、私たちは、今後、懸念されいる“南海トラフ大地震、周防灘地震、別府湾地震”への備え方について、同じことを繰り返さないように考えていかなければなりません。
これまでは、発災時の対応を行政に頼る風潮がありました。今回の能登半島地震も同様の対応となりましたが、行政職員の“スキルの差”が対応の優劣に比例してしまうことから、地域の防災力への期待が増しています。避難所運営や孤立した地域での避難生活については、災害関連死に直結することから特別です。
更には、外からのボランティアの受け入れ態勢、つまり受援力についても、今となっては、もう行政や社協には頼れません。この能登半島地震でも発災当初から県庁には2万3千件のボランティアの申請が上がっているとのこと(神戸大学名誉教授・室崎益輝氏談)。
しかし、1日の受け入れは100人に満たない現状が今も続いています。支援の手が被災者に届かないのです。
この災害をきっかけに今後は、外からの支援や行政に頼らない防災の地域づくりが更に求められてくると考えます。